ほとんどの場合、あるテレビドラマで大ヒット作が生まれたあとには、
同じようなジャンルの作品が続いて製作されていくものですが、
中には例外的なものもあります。

その一つが「探偵モノ」のドラマです。

探偵モノは、刑事ドラマである「太陽に吠えろ」を出発点として、
そこに刑事役として登場してきた萩原健一、松田優作がそれぞれ次回作で非常に
刑事時代のキャラクターに近い探偵役を演じたことでかなりの人気となったジャンルです。

作品としては萩原健一は「傷だらけの天使」(1974~1975年)、
松田優作は「探偵物語」(1979~1980年)でそれぞれ「小暮修(こぐれおさむ)」
「工藤俊作(くどうしゅんさく)」という個性的なキャラクターを演じています。

もともと「太陽に吠えろ」という刑事ドラマが刑事ドラマとしてかなり亜流な存在で、
本来公権力の主体であるはずの刑事たちが、
なぜか反社会的な行動をしているという一種不思議なつくりをしていたことから、
この探偵モノというジャンルが登場することになったようです。

社会的に怪しいもの、アウトローな存在である探偵という職業に主人公をおくことで、
社会の内部にあるちょっと暗い側面をより庶民的な視点で描こうというのが
探偵モノの大きな趣旨というか醍醐味となっています。

 

管理人的にもこの探偵モノは大好きで、今それぞれのドラマを見ても、
当時のなんとも言えない怪しげな雰囲気というか、
政治や財界などに関係する人たちの心の裏側みたいなものが見えてとてもおもしろいです。

ただ、「傷だらけの天使」と「探偵物語」を比較すると、
「探偵物語」は松田優作の人気もあってその後国民的なドラマへと成長していくのですが、
萩原健一の「傷だらけの天使」はどちらかといえばカルトな人気となっており、
見る人の好き嫌いがはっきりと分かれる作品になっています。

それもそのはずで、もともと「傷だらけの天使」の出発点になっているのは
「“太陽に吠えろ”で描ききれなかったような性犯罪や残虐性の高い犯罪などを
リアルに描きたい」という萩原健一の要望であったことから、
「傷だらけの天使」の放送開始当初は見ていて切なくなるような
描写や女性の裸体などが多用されていました。

そのため一般的には支持を得ることができず、2クール目からはそれら過激な描写を
おさえてコミカルで人情味を全面に出す方向に内容が変更されました。

そのかいもあって2クール目からはやや視聴率を回復させましたが、
おそらく制作陣(というか萩原健一)的には
あまり喜ばしくなかった結果なのではないかと勝手に想像してしまいます。

ちょっと偉そうな評論をしてしまえば、
芸術性みたいなのにこだわりが強すぎたのかなーという感じです。

 

反対に「探偵物語」では、のちに木村拓哉がバラエティ番組の中で
パロディ演技をするほど、最初からコミカルな造りをしていました。

松田優作のちょっと強面でワイルドな風貌と、
どこかひょうきんで飄々としているキャラクターがうまいギャップになっていて、
「探偵物語」はのちの歴史に残るような大ヒットドラマになりました。